Quote of the day #1
"Someone is sitting in the shade today because someone planted a tree a long time ago"
Zohoの提供するチャットアプリ「Zoho Cliq」にアクセスすると、はじめの画面には"Quote of the day"が日替わりで表示されます。
今回の名言はZoho Cliqの"Quote of the Day"の中では英語としても比較的シンプルであり、言っている内容もわかりやすく明快な部類の一文だと思います。
グーグル検索の結果によると「ローマは一日にして成らず」が同義の引用だそうです。
ところで、無粋を承知で書くと、道徳的な価値はともかくこの文は理屈としては必ずしも正しくないと思います。
木は勝手に生えてくるものもあり、勝手に生えてきた木の陰に座ることもできるからです。
ローマは勝手に生えてはきませんが、ローマにいる人たちはローマを栄えさせようとしているのではなく個々人が幸福を追求した結果としてローマが繁栄してみえるという意味ではそれこそ「勝手に」出来上がったものだといえます。
今の僕たちに言えることは、そこに木が生えていて、人が座っている、それだけです。
コンテクストまでは分かりません。
ではここでは、その木は誰かが植えたものだとしましょう。
木がそこに育ったのは植えた人がいたからだとも言えますし、木が育つだけの栄養のある土壌があったからだとも言えますし、木を育てるだけの日照があり雨が降ったからだとも言えます。
木陰の存在、もっと言うとそこの木陰に人が座っているという事象は、誰かが木を植えたという単一の事実のみの延長線上に存在しているわけではないのです。
木が生えているのは誰かの作為かも知れませんし、まったくの偶然かもしれません。
どちらかといえば、いま我々が直面している現実はここで言う日照や土壌など現在までのあらゆる事象の交点に顔をだしているに過ぎないと考えるべきです。
ここに思い通りにならないこの世界の難しさがあると言えます。
この例では「何月何日に誰々が木陰で涼みたがるだろうから、今のうちに木を植えておこう」という風に何年後かのことをピンポイントで考えて木を植える人はたぶんいないと思います。
経営企画室の仕事も、これと同じだと思います。
上に書いたとおり、僕たちが撒いた種が実を結ぶかどうかは自分たちだけでは決められません。
このような不確定要素のなかでやってきたことが、ひとつでもハッピーエンドを迎えることができたら、僕たちの仕事は大成功だと思います。
ですがこのたとえ話を通していいたかったのは「最終的には自分にはどうすることもないから諦めろ」ということではありません。
むしろ、どんなことにも不確定要素は存在している以上、せめて自分にできることは最大限やるべきだと思います。
しかし、そこに対して過剰な期待は持たないほうがよいのかも知れません。
経営企画室に入った当初、「広報が大事なのは理解しているけど、自分が今やっている作業がどう広報に役に立つのだろうか」とか「もっと効果的なことに力を注ぐべきではないだろうか」というふうに自分の仕事に対してかなりの迷いを持っていたことがありました。
ですが、すぐに役に立つことは事業部でやるか、正社員の経営企画室のメンバーの方がやればいいのです。
むしろ、成果が即座に出なくてもすぐには怒られないインターン生だからこそ、未来の誰かの木陰でのひとときのために木を植えていくべきなのだと思っています。
(インターン生 久保田)