海外出張体験記 Vol1
渡辺 真広さん (Manage Engine 技術)
(写真右から三人目)
出張期間:3か月間
行先:インド本社(チェンナイ)
目的:トレーニング
近頃、外資系に勤める若手社員は海外へ行きたがらないという。しかし渡辺は、今回の出張に一切の迷いは無かった。技術部では、トレーニング目的以外で海外へ行くことはめったにないため、今回の出張は彼にとって大きなチャンスだったのだ。
「確実に何か学べることがわかっているのに、行かないという選択肢はなかった」
そう語る渡辺の長期出張目的は、トレーニング・製品勉強をはじめ、大きな製品発表へ向けた情報収集や、世界中で提供される機能を日本でも提供できるようにすること、普段チャットで連絡を取りあっている現地社員との顔合わせを行うことだった。多くの任務を任された渡辺だったが、最初から順風満帆な海外出張生活を送れたわけではない。
「英語が本当に苦手で、すごく苦労しましたね。日本で何があったかなどの日常会話はできるんですけど、まじめな仕事の話になると全くわからないこともありました。現地でインドの方5名くらいに3時間ほど製品についての質問をされる機会があったんですけど、その時は完全に1人だったので他の社員さんに頼れず、理解するために何回も聞きなおして頑張りました。だんだんとインドの特徴的な発音にも慣れてきて、あまり劇的な変化ではないんですけど、出張に行く前よりは聞き取れる・しゃべれるようになりました。」
働いていく中で、普段はチャットで連絡を取り合うだけの仲だった現地の社員について気づいたことがあるという。
「チャットをよく読まずに返信してくるから、日本にいる時は現地の人にそっけない印象を抱いていました。でも実際に行ってみると、日本の問い合わせをインドで誰がどう対処しているのかを知れたため、あまり気にならなくなりました。1日100通に対応している現地の人の顔が浮かぶと、譲歩の気持ちが生まれますね。
あとインド人の性質か、ゾーホーの性質かわからないけど、ごり押ししないとやってくれないことが多かったです。連絡を密にとっていないと、指定された場所にいないこととかもありました。自分からひたすら電話したり、メール送ったりして積極的にコンタクトをとってました。トレーニングも同様、これをやりたいって自分から言わないと何も構ってくれないんですよね。自分が〇〇をトレーニングしたいから、それができる人に頼んでようやくやってくれる感じでしたね。
気質の違いとしては、日本では顧客相手に100%のものを提供することは当たり前。できるかできないかわからない不確実なことを提案することはまずないんですね。もしくは提供する前に自分で試してみたりする。でもインドは、確実性のないものを試そうと
することが当たり前にあるんです。日本人がなんでそんなに確実性が欲しいのかわからないということでのすれ違いはありましたね。」
渡辺は本社で学びを得るだけでなく、インド・日本どちらにも貢献するための積極的な努力を惜しまなかった。日本へ提供していない製品を、提供できるだけのトレーニング・テストを実施した。新たな製品発表については、どんな機能が付くのかなども含めて逐一日本への報告を厭わなかった。現地のチームを転々とし、あらかじめ日本で得ていた各製品への要望を製造担当者に伝えていった。
今回の出張を渡辺はこう振り返る。
「出張には事前知識をあまり入れずに行ったので、ショックを受けることがなかったです。事前の情報とのギャップが起きえない状況だったので、すべて受け止めることができました。先入観がほとんどない状況で、インドという国や現地社員の方と触れ合えて本当に良かったです。」
今もインド本社との関係は良好で、トラブルがあった時には電話で相談しあえる仲になった。日本に帰ってきてからは、出張中の功績も認められ社内表彰を受賞した。海外出張に挑んだ入社1年目は、渡辺にとって大きな飛躍の年となった。